アカデミアにある知的資源は、どのような意味で私たちの役に立つのでしょうか。大学には、私たちの日々の暮らしに直結する学問から、日々の暮らしにはまったく関係しないように思える学問まで、さまざまな分野の知が集まっています。それらの知には、ひとくくりにはできない多様性があります。基礎となる世界観、問いの立て方、課題の発見の仕方、解決方法、そして成果など、その違いは多岐にわたります。

このようなアカデミアの知のありように触れ、常に自らを成長させていくことは、急激に変化するこの時代を生きる私たちにとって欠かせないことです。リベラルアーツやリカレント教育、リスキリング教育などの言葉に象徴されるように、ビジネスや行政等の諸分野でもアカデミアの知を活用する気運は高まりつつありますが、なにをどのように活用すれば良いのかは、必ずしも整理がついているわけではありません。

そこで、このシンポジウムでは、東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラムや人事院公務員研修所の取り組み（課長補佐級リーダーシップ研修）等を例に、アカデミアの知をどのような形で人材育成に役立てられるのか、参加者の皆さんとともにその可能性を議論したいと思います。