イベント概要
宮崎県内には200余の、そして全国には5000を超える神楽が継承されているが、今回は全国的視野のもとで、神楽に内包されているさまざまな文化的要素、地域社会と人々にとっての神楽継承の意義などについて、基調講演・連続講演と討論を通じて考える機会とする。
神楽がもっている文化的・社会的性格は多元的であり、多様である。このことはすでに「神楽学の構想」ということで示されているが、今回はその中から神話との関連、修験道とのかかわり、神楽を構成する「楽」のあり方、さらには神楽継承者自身の神楽を継承することへの思い、神楽継承と地域振興との関わりを取り上げ、神楽に込められている文化的・社会的奥深さを知ってもらうことを目的とする。
ここにいう「神楽学」というのは、学術の世界だけでなく、神楽継承者にとっての神楽、持続可能な地域社会づくりと神楽、神楽の楽しみ方など、実践の学としての内容をもつものである。
【神楽学の構想】
1953年、神奈川県生まれ。國學院大學文学部文学科卒業。専門は「民俗学」。文部科学省文化審議会専門委員、無形文化遺産保護条約に関する特別委員会委員などを歴任。
現在は、宮崎県のみやざきの神楽魅力発信委員会委員長、神楽保存・継承実行委員会委員長として、みやざきの神楽の保存継承や魅力発信にも携わる。
その他、独立行政法人日本芸術文化振興会の委員や中国の南開大学、インドのジャワハルラル・ネルー大学の客員教授などを務める。
「神楽と修験道」
1949年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了。文学博士。慶應義塾大学名誉教授。日本宗教学会常任理事、日本山岳修験学会会長。
主な著書に『山と神と人―山岳信仰と修験道の世界』(淡交社)、『スリランカの宗教と社会-文化人類学的考察』(春秋社)、『ミャオ族の歴史と文化の動態―中国南部山地民の想像力の変容』(風響社)、『山岳信仰-日本文化の根底を探る-』(中央公論新社)、『熊野と神楽―聖地の根源的力を求めて』(平凡社) 等。その他、共編著・監修等多数。
「神楽と記紀神話」
「神楽演目の形成と歴史
−宮崎県諸塚神楽の荒神問答を中心として−」
「神楽を継承する」
「神楽と地域振興」
【神楽学は可能か】
<司会>小川直之
<パネラー>鈴木正崇・大館真晴・渡辺伸夫・小国朋身・田尻隆介
「神楽とは何か−宮中御神楽(きゅうちゅうのみかぐら)と民間諸神楽(みんかんのしょかぐら)−」
1948年生。國學院大學文学部及び大学院教授。国立歴史民俗博物館名誉教授。国立総合研究大学院大学名誉教授。社会学博士(慶應義塾大学)。
主な著書に『伊勢神宮と出雲大社-「日本」と「天皇」の誕生-』、『伊勢神宮と三種の神器-古代日本の祭祀と天皇-』、『氏神さまと鎮守さま-神社の民俗史-』(以上講談社選書メチエ)、『葬式は誰がするのか-葬儀の変遷史-』、『民俗学とは何か-柳田・折口・渋沢に学び直す-』(以上吉川弘文館)、『神道入門-民俗伝承学から日本文化を読む-』(ちくま新書)。
「高千穂神楽への招待」 小川直之
野方野神楽の概要
野方野神楽は、宮崎県高千穂町の野方野集落に伝わる神楽で、国の重要無形民俗文化財に指定されている高千穂の夜神楽の一つです。高千穂の夜神楽は、高千穂地方の神楽の総称で、鎮守の杜で行われていた地主神の祭儀が、農耕生活の基盤である里に移行し、民家を祭場として秋の収穫感謝、鎮魂儀礼を内容にし、毎年11月から2月にかけて、町内40か所の集落で氏神祭りとして奉納されます。その起こりについては、現存する鎌倉・室町期の文書や神楽面から800年以上前といわれ、江戸後期に現在の形態が確立したものと考えられています。
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■10月11日(木)開催の「高原の神舞 国重要無形民俗文化財「秡川神楽」 ~神楽舞う能舞台~」については、こちらから